Vol.03 洗車ガレージ着工|シャッター・タイル・シーリングブームの最終仕様
計画から約1年。シャッター・タイル・スパンドレル・シーリングブームの最終仕様と施工記録。
洗車ガレージの最終仕様が固まり、着工しました。シャッターは文化シャッターの御前様、床は名古屋モザイクの20mm厚タイル、壁と天井はアサヒ金属の鋼板スパンドレル、そして天井中心にモスマティックのシーリングブームという構成です。計画開始から約1年、実際に採用した製品と選定理由をすべて記録しました。
洗車を目的にガレージを設計すると、一般的なビルトインガレージとは判断基準が変わります。床は車の荷重と水を受け続け、壁と天井は高圧洗浄機のミストにさらされ、排水は勾配ひとつで作業性が決まります。既製のプランに答えが無いため、タイルの厚み・水勾配の数値・高圧ホースの配管ルートまで自分たちで決める必要がありました。
- 洗車ガレージのシャッターと床タイルの選定基準・最終仕様
- 洗車を前提にした水勾配・側溝・グレーチングの決め方
- シーリングブームの長さの選び方と天井への取付方法
- 高圧ホースを天井裏に隠す配管方法と漏水リスクへの対策
※本記事は着工時点(2023年3月)における最終仕様の記録です。完成後の使用感・後悔ポイントについては、シリーズの別記事で公開予定です。
× D 7.28m
(2m×5m車の場合)
前後 各約1m
その他:ブラック
ガレージシャッターの選定と価格
ビルトインガレージのシャッターは、文化シャッター「御前様(ごぜんさま)」標準HSタイプを採用しました。有効開口W4,983mm×H2,495mm、カラーはブラック、価格は130〜150万円程度(2022年当時・材工共)です。三和シャッター「静々動々(せいせいどうどう)」と同条件で相見積もりを取り、カタログ上の性能差より価格差が大きかったため文化シャッターを選定しています。
インナーガレージのシャッターは、一度取り付けると交換が難しく、日常の開閉音や見た目にも直結する部位です。洗車ガレージという用途上、外観よりも内観の意匠と静音性を優先して選定しました。
ガレージシャッターの価格|2社相見積もりの比較
同一サイズ・同一の電動仕様で2社から見積もりを取得したところ、価格差は約40万円。カタログ値を並べても決定打になる性能差は無く、この金額差をデザインや使い勝手で回収できるとは判断できませんでした。
| 比較項目 | 文化シャッター 御前様(採用) | 三和シャッター 静々動々 |
|---|---|---|
| スラット | 発泡ウレタン充填 アルミ成形スラット |
カラーアルミ (ウレタン充填) |
| 開閉音 | 約60dB | 約55dB(スタンダード) 約63dB(ハイスピード) |
| 開スピード(H2.5m) | 約14秒 | 約12秒(ハイスピード) |
| 障害物感知装置 | レール内蔵 多光軸センサ | 多軸エリアセンサ |
| 耐風圧性能 | 850Pa | 900Pa |
| 設計耐用回数 | 20,000回・10年 | 20,000回 |
| 見積額(同条件) | 採用 | +約40万円 |
※仕様は各社カタログ公表値(本記事執筆時点)。見積額は2022年7〜11月に取得した同条件・同サイズ・材工共での比較であり、地域・工務店・時期により変動します
静音性で選ぶ|スラットに発泡ウレタンが入っているか
選定条件として最初に決めたのが静音性です。ガレージがリビングに面しているため、開閉音がそのまま生活空間に届きます。条件はスラット内に発泡ウレタンが充填されている製品であること。スチール製の中空スラットに比べ、開閉音だけでなく風による振動音(風振・風打音)も抑えられます。
開閉音:約60dB/開閉スピード:開 約14秒・閉 約26秒(H2.5m時)
有効開口:W4,983mm × H2,495mm カラー:ブラック(スラット裏面・ガイドレール・座板も標準でブラック)
障害物感知:レール内蔵 多光軸センサ(電池交換不要)/急降下防止装置 標準装備
リモコン:セレカード1個 標準付属/電源:単相100V
耐風圧性能:850Pa 設計耐用回数:20,000回開閉・10年
巻き上げ式とオーバースライダー|オーバースライダーを選ばなかった理由
ガレージシャッターには、シャッターボックスに巻き取る「巻き上げ式」と、天井にレールを設けて扉を水平にスライドさせる「オーバースライダー」があります。外観の意匠性・開閉速度・静音性の3点ではオーバースライダーが優れていると考えていますが、今回は採用しませんでした。
ビルトインガレージの情報は外観目線で語られがちですが、ガレージ内の天井を何に使うかが決まっていると、選べる方式は自動的に絞られます。天井にシーリングブームを吊る前提だったため、この判断は早い段階で確定しました。
シャッターサイズの決め方|H2,500mmが価格の境界線
御前様の設計範囲はW0.62〜6.3m・H1.8〜4.0m。最大有効間口6.3mまで一連で対応できるため、車2台分を柱なしで納めることも可能な製品です。今回は土地の間口と構造上の制約からW4,983mmとし、2台並列で駐車できる寸法としました。
シャッターボックスの納まり|天井埋込を却下した理由
シャッターボックスは露出納まり(ケース納まり)+天井折り上げとしました。天井内に完全に隠す埋込納まりは、故障時の対応とメンテナンス性を考えて却下しています。隠すことを優先すると、点検口の位置や開口寸法に無理が出て、結局は将来の自分が困る納まりになります。
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1シャッターボックスは露出納まり(内巻き) ボックス寸法はD485mm × H430mm。内巻き納まりのため、ボックスはガレージ内側に位置します。
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2ボックス部分の天井を折り上げる 折り上げ寸法はH500mm × D1,100mm。ボックスを折り上げ天井内に納めることで、ガレージ内から見たときの出っ張りを視覚的に消しています。
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3折り上げ側面に給気口を設置 バクマ工業/RE-J-BK(φ100・結露防止断熱材付・W150×H150×D43mm)を外壁側の側面に1個。換気扇の給気用で、リビングから見えない位置に隠しています。
なお今回、シャッター前に庇や水返しの段差は設けていません。強い雨の吹き込みがどの程度発生するかは、住み始めてからの検証課題として残しています。
ガレージ床タイルの選定と下地
ガレージの床は、名古屋モザイク「モンティニャック」600×600×t20mmの磁器質タイル(ライトグレー)を約43㎡に施工しました。目地材はイナメジG-2N(現行品番G2R/グレー)、目地幅は3mm程度。材料費は約52万円、施工費を含めた総額は約70万円(2022年当時)です。土間コンクリート仕上げ・床用塗装・置き敷きガレージタイルも選択肢にはなりますが、洗車で毎日水を受ける前提では候補になりませんでした。
床仕上げを検討した経緯と、土間コンクリート・床用塗装・置き敷きタイルを候補から外した判断はVol.02 洗車ガレージの設計全記録にまとめています。ビルトインガレージの床は、一般的には土間コンクリートのまま仕上げるケースがほとんどです。ただし洗車ガレージの場合、床は車の荷重と水・カーシャンプー・酸性・アルカリ性のケミカルを受け続ける面になります。判断基準を「見た目」ではなく「水と薬品に濡れ続けても劣化しないか」に置いた結果、タイル一択になりました。
ガレージの床仕上げ比較|土間コン・塗装・タイルの違い
選択肢として挙がる4つの仕上げを、耐久性・メンテナンス性・水勾配との相性・防滑性で比較したものが次の表です。
| 床仕上げ | 耐久性・耐荷重 | メンテナンス性 | 水勾配・防滑性 | 採否 |
|---|---|---|---|---|
| 土間コンクリート(金ゴテ仕上げ) | 荷重は問題ないが 表面の摩耗・油染みが進行 |
防塵塗装や再仕上げを 定期的に行う前提 |
不陸が出ると水が残る 金ゴテ面は濡れると滑る |
却下 |
| 床用塗装(エポキシ・ウレタン) | タイヤ痕・熱・薬品で 剥離や変色の可能性 |
数年ごとの 再塗装が必要 |
骨材散布で防滑可 勾配は下地の精度次第 |
却下 |
| 置き敷きガレージタイル(PVC) | 荷重で変形・傷が入る | 外して洗えるが 継ぎ目から水が入る |
タイル下に水が回り 乾きにくい |
却下 |
| 磁器質タイル t20mm | 吸水率が低く 摩耗・薬品に強い |
高圧洗浄機で そのまま洗い流せる |
下地側で勾配を作り込む 粗面タイプで防滑 |
採用 |
※費用の比較は掲載していません。20mm厚タイル以外は見積もりを取得していないため、同条件での比較ができないためです
ガレージタイルの厚さ|10mmではなく20mmを選んだ理由
住宅用の床タイルは10mm前後が主流ですが、ガレージ床には20mm厚を選定しました。理由は単純で、車の荷重に対して10mm厚では割れるリスクがあるためです。
また20mm厚は1枚あたりの重量が増えるため、施工方法・下地の作り方も含めて工務店側と早い段階で共有しておく必要があります。
目地と防滑性|粗目のタイル+グレー目地
洗車ガレージの床は、作業中ほぼ常に濡れています。防滑性を確保するため、表面が粗目のタイルを選定しました。鏡面や磨き仕上げは濡れた状態での滑りが怖く、最初から候補に入れていません。
カラー:ライトグレー 施工面積:約43㎡
目地材:イナメジG-2N(現行品番 G2R)/カラー:グレー/目地幅:3mm程度
費用:材料 約52万円+施工 約17万円/合計 約70万円(2022年当時)
ガレージ床の下地|水勾配は下地コンクリートで作る
タイル自体の性能より重要なのが下地です。洗車ガレージは床全体に水勾配が必要なため、勾配はタイルではなく下地コンクリート側で作り込みます。
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1建築工事:基礎スラブ+下地コンクリート 約300mm 基礎スラブの上に、厚さ300mm程度の下地コンクリートを施工。ここまでが建築工事の範囲です。
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2外構工事:勾配調整を含む下地コンクリート 60〜110mm(ワイヤーメッシュ入り) 外構工事側で、厚さ60〜110mmの下地コンクリートを施工。この厚みの差がそのまま水勾配になります。ワイヤーメッシュを入れてひび割れを抑えています。
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3タイル施工 勾配を付けた下地の上に600×600×t20mmのタイルを施工。タイル面がそのまま排水勾配面になります。
ガレージ排水と水勾配
洗車ガレージの排水は、床全体をシャッター側へ0.8%の一方向勾配とし、シャッター内側に内寸W150×D100mm・長さ約6.2mの現場打ち側溝を設けました。側溝内はさらに約3%の勾配を付け、排水口から約1m先の屋外集水桝へ接続しています。グレーチングは福西鋳物のSGDLB-5020(鋳鉄・細目・すべり止め付・T-20対応)です。
一般的なビルトインガレージの排水は、多くの場合「万が一濡れたときに水が抜ければいい」程度の設計です。しかし洗車を行うビルトインガレージでは毎回100L単位の水を床に流すため、勾配の数値と側溝の位置が作業性を直接左右します。ここは着工前に最も時間をかけて詰めた部分です。
ガレージの水勾配|0.8%にした理由
床の水勾配は約0.8%(1mあたり8mm下がる)としました。ガレージ奥の壁からシャッター側の側溝に向かって、約7.28mを一方向に流します。奥から側溝までの高低差は約58mmです。
一般的な土間の水勾配は1〜2%程度が目安とされます。それより緩くしたのは、洗車作業の道具が理由です。
タイル表面が粗面で水が残りにくいことも踏まえ、「水は流れるが、道具は転がらない」境界として0.8%を選びました。仕上げがタイルではなく金ゴテの土間コンクリートであれば、もう少し勾配を確保したほうが安全です。
側溝の寸法と側溝内勾配
側溝は既製のU字溝ではなく現場打ちとしました。ガレージの間口いっぱいに通す必要があり、排水口の位置とグレーチングの割付を自由に決めたかったためです。
側溝内勾配:約3%(流れを確保するため床勾配より強く設定)
排水口 → 屋外集水桝までの距離:約1m
グレーチング:福西鋳物 SGDLB-5020(150用)/鋳鉄製・ブラック
寸法 W200 × W'210 × L748mm/ピッチ20.0mm/開口面積 35,100mm²
細目・すべり止め付・ボルト固定/荷重レベルD(T-20・敷地内20t対応)/破壊荷重200kN
側溝内の勾配を床より強い3%にしたのは、溝に落ちた水を排水口まで確実に流しきるためです。洗車の排水には泥・砂・鉄粉が混ざるため、勾配が緩いと流れが遅くなり、溝の底に汚れが堆積します。床面の勾配とは別に、溝の中の勾配も設定しておく必要があります。
側溝の位置|シャッター内側に揃える
側溝はシャッターの内側に配置し、シャッターの納まり位置とグレーチング端部が揃うように設計しました。
また外側に側溝があると、雨水と洗車排水が同じ経路になります。なお内側配置の今回の計画でも、車の出入り時にはグレーチング上をタイヤが通過します。走行時に蓋がずれたり跳ね上がったりしないよう、グレーチングはボルト固定式を選定しています。
グレーチングを鋳鉄ブラックにした理由
グレーチングは鋳鉄製のブラックを選定。一般的なステンレス(シルバー)は、ライトグレーの床とブラックで統一した壁・天井の中で、その部分だけが明るく浮いてしまうため却下しました。
仕様は細目・すべり止め付き。洗車中は必ず濡れている場所を人が踏むため、防滑性は必須条件です。ボルト固定式にして、作業中にグレーチングがずれたり跳ね上がったりしないようにしています。
排水口の閉鎖|洗車しないときは蓋をする
側溝の排水口には、カクダイ「ハンディーツバヒロ掃除口」品番400-413-50を採用しました。洗車時以外は蓋を閉められる構造です。
ガレージの排水口は屋外の集水桝と直結しているため、開けっ放しだと外気・臭気・虫の侵入経路になります。長期間洗車しない時期に排水トラップの水が蒸発することも考えると、物理的に閉められる部材にしておくのが確実という判断です。
排水ルート
ガレージの壁・天井仕上げ
ガレージの壁と天井は、アサヒ金属の鋼板スパンドレル F型(目地無)/働き幅200mm・厚み0.5mm・ブラックで統一しました。施工面積は壁 約40㎡、天井 約44㎡。断熱は吹付け硬質ウレタンフォームA種3で、壁90mm・天井(屋根)160mmを確保しています。
洗車ガレージの壁と天井は、高圧洗浄機のミストが常時かかる面です。石膏ボード+クロスやケイカル板+塗装では、水分と汚れに対して長期的に持ちません。そこで屋外用の外壁材・軒天材をそのまま室内に使うという考え方で、金属スパンドレルを選定しました。
ガレージの内装に鋼板スパンドレルを選んだ理由
スパンドレルは本来、外壁や軒天に使われる建材です。屋外で雨風にさらされる前提の製品なので、ガレージ内のミスト程度で防錆・防水を心配する必要がありません。この点は選定時にほとんど検討課題になりませんでした。
加えて、汚れたときに水拭き・高圧洗浄で洗い流せることも大きな利点です。クロス仕上げでは不可能な運用ができます。
働き幅:200mm 厚み:0.5mm カラー:ブラック
貼り方:壁=縦貼り/天井=長手貼り
施工面積:壁 約40㎡/天井 約44㎡
ガレージはリビングからガラス越しに見える位置にあるため、光が斜めに当たったときの見え方を重視しました。目地の有無も同様で、目地無しのF型のほうがフラットで面としてスッキリ見えます(ここは好みの問題です)。
壁・天井の下地構成と断熱
スパンドレルは仕上げ材なので、性能を決めるのはその裏側です。壁と天井で下地の構成が異なります。
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1壁:構造用合板9mm + 透湿防水シート + 通気胴縁18mm + スパンドレル 外壁とまったく同じ構成です。通気胴縁で通気層を確保しているため、万一スパンドレルの裏に水分が回っても壁内に滞留しません。
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2天井:野縁30mm + スパンドレル 天井は野縁に直接スパンドレルを施工。石膏ボード等の下地ボードは入れていません。ただしシーリングブームの取付部だけは、裏面にベニヤを追加して補強しています(セクション5参照)。
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3断熱:吹付け硬質ウレタンフォームA種3(壁90mm・天井160mm) ガレージも居室と同等の断熱仕様としました。天井(屋根)側は160mmを確保しています。
無断熱のまま金属板で仕上げると、冬場に屋根面・壁面が冷え、ガレージ内の湿った空気が触れて結露します。洗車後の湿度が高い状態では、車体や工具に水滴が落ちるリスクがあります。断熱と換気(セクション6)はセットで考えるべき部分です。
カラーをすべてブラックで統一した理由
結果として、床だけライトグレー、壁・天井・シャッター・サッシフレームをすべてブラックという構成に。最近は建材・家電ともにブラックのラインナップが増えていて合わせやすくなっていますが、ホワイトより価格が高い傾向がある点は計画時に見込んでおいたほうがいいです。
シーリングブーム
我が家のガレージで最も重要な設備がこのシーリングブームです。高圧洗浄機のホースを天井から吊り下げることで、床にホースを這わせる必要がなくなり、ホースを取り回すストレスはゼロに。
取付方法(自作設計)
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1上部の梁に全ネジボルトを取り付け 取付位置はガレージ中心。主な荷重は梁で受ける設計。金物の選定については現場監督さん・大工さんと現場で相談して決定する予定。
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2天井スパンドレルを施工し、裏面をベニヤで補強 シーリングブームが接触する部分のスパンドレル裏面に補強材を入れて剛性を確保。
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3シーリングブームを天井面に取り付け、スパンドレル+ベニヤを挟み込んで固定 シーリングブームの揺れをスパンドレル+ベニヤで吸収する構造。シーリングブームとスパンドレルの間には2〜3mmのパッキンを挿入。
ホース天井裏配管(世界でも珍しい試み)
世界中の施工事例を調べても、シーリングブームのホースは露出が当たり前。しかし個人宅のガレージに設置する以上、露出ホースはデザイン的に許容できません。そこでホースは天井裏配管にしました。
対策① 排水管(VUφ75)を空配管として天井裏に先行設置。その中にホースを通す(電気配線の空配管と同じ考え方)。
対策② 万が一漏水してもGCL収納内に水が流れるよう水勾配を確保。
対策③ シーリングブーム真横とGCL収納内に天井点検口を設置し、メンテナンスができる状態を維持。
ガレージの照明・換気・電源
ガレージの照明はDAIKOのユニバーサルダウンライト(演色性Ra98)を計8台、換気はパナソニックの天井換気扇2台で合計770㎥/h、電源は通常コンセント2口+EV用200V専用回路1口という構成です。エアコンは設置していません。ガレージとGCLを合わせた気積(室内の空気の体積)は約130㎥で、1時間あたり約5.9回の換気ができる計算になります。
洗車ガレージの照明と換気は、一般的なビルトインガレージの基準では足りません。照明は洗車の仕上がりを目視で確認する作業灯を兼ね、換気は高圧洗浄機のミストと雨天時の湿気を短時間で排出する必要があるためです。感覚ではなく、演色性・光束・換気量という数値で決めました。
ガレージ照明|演色性Ra98のダウンライト8台
採用したのはDAIKOのユニバーサルダウンライト2種類。4,000K・2,470lmを6台、3,000K・1,800lmを2台の計8台を天井に配置しました。器具寸法は径φ144・埋込穴φ125・埋込深148mmです。
照明計画をゼロから組み立てた過程はVol.02 洗車ガレージの設計全記録で解説しています。決め手は演色性Ra98という数値でした。洗車後の拭き残し・水シミ・磨き傷は、光源の演色性が低いと目視で判別できません。屋外の自然光に近い光でボディを見られるかどうかが、ガレージ内で洗車を完結させるための条件になります。
配置は「ガレージに1台だけ駐車した状態で、ボディ全体にバランスよく光が回るか」を基準に決めました。照射向きを変えられるユニバーサルタイプにしたのも、駐車位置や車種が変わったときに光の当たり方を調整できるようにするためです。
| 品番 | 色温度 / 演色性 | 光束 | 台数 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| LZD-93125GBM | 3,000K / Ra98 | 1,800lm | 2台 | 日常生活+洗車用 |
| LZD-93125DBW | 4,000K / Ra98 | 2,470lm | 6台 | 洗車用 |
※LZD-93125GBM・LZD-93125DBWはいずれも生産終了品です(本記事執筆時点)。仕様・台数は採用当時の内容を記載しています
器具寸法:径φ144/埋込穴φ125/埋込深148mm
演色性:Ra98(2機種とも)/光束:2,470lm・1,800lm
設置位置:天井(配置は平面図参照)
照明を1系統でまとめてしまうと、車を出し入れするだけの数十秒でも作業灯レベルの明るさが点灯します。使用シーンが「保管」と「洗車」で明確に分かれる空間では、回路を分けておいたほうが使い勝手がいいです。
なお採用した2機種は屋外用ではありません。高圧洗浄機のミストがかかる環境で防水性に不安は残りますが、天井高2.5m前後で直接水がかかる位置ではないと判断して採用しています。
ガレージの換気|合計770㎥/hで湿気とミストを排出
換気扇はガレージ内とGCL(ガレージクローゼット)に分けて天井に2台設置し、合計770㎥/hの換気能力を確保しました。ガレージ+GCLの気積 約130㎥に対して約5.9回/h、計算上は約10分で室内の空気が入れ替わります。
洗車ガレージの換気には、一般的なガレージにはない要件が3つあります。高圧洗浄機のミストの排出、雨天後の湿度上昇の抑制、エンジン始動時の排気ガスの滞留防止です。特にミストと湿気は、車体・工具・洗車用品すべてに影響します。
ガレージはシャッター1枚で外部と接するため気密性が高くありません。それでも梅雨時や雨天時は湿度が上がるので、雨がやんだ後にどれだけ早く湿度を下げられるかを換気能力の基準にしました。
最大換気能力:220㎥/h
ルーバーサイズ:300×300mm
リビングから見える位置のため小型を選定。
最大換気能力:550㎥/h
ルーバーサイズ:380×380mm
GCLはリビングから直接見えないため大容量を配置。
※ルーバーはガレージ内装に合わせてブラックを採用
| 区画 | 内寸法 | 気積(容積) | 換気扇・能力 |
|---|---|---|---|
| ガレージ | W6.37 × D7.28m 天井高 2.48〜2.54m |
約116㎥ | FY-24JDG8/220㎥/h |
| GCL(収納) | W3.48 × D1.69m 天井高 2.40m |
約14㎥ | FY-32JD8/550㎥/h |
| 合計 | — | 約130㎥ | 770㎥/h(約5.9回/h) |
※ガレージの天井高は床の水勾配により一定ではないため、幅で記載しています
参考までに、一般的なキッチンレンジフードの最大換気能力が400〜500㎥/h程度です。40㎡弱のガレージに対してはかなり過剰にも見えますが、洗車1回で発生するミストの量を考えると、短時間で排出しきれる能力を持たせておくほうが実用的だと判断しました。
スイッチは壁付けで、オン/オフに加えて常時・強・弱の3段切替。洗車直後は「強」、湿度が高い時期は「常時・弱」で回し続ける想定です。
ガレージにエアコンを設置しなかった理由
空調はエアコン無しで確定としました。断熱(壁90mm・天井160mm)と換気770㎥/hは確保したうえで、冷暖房機器そのものは入れていません。
理由は使用時間です。ガレージで洗車・メンテナンスに費やす時間は年間でも数十時間程度。その時間のためにエアコン本体・電気工事・室外機置き場・ランニングコストを負担することは、予算配分の優先順位として上げられませんでした。シャッター1枚で外部と接する空間では、冷暖房をかけても効率が悪いという判断もあります。
電源とスペースは確保してあるため、住み始めて不満が出れば後付けできる余地は残しています。エアコンを検討するなら、断熱・換気を先に決めてからのほうが機器の容量も判断しやすくなります。
ガレージのコンセント|EV用200V専用回路を先行設置
コンセントは通常コンセント2口(シャッター横・対面壁)とEV用の200V専用回路1口(シャッター横)を設置しました。取付高さはいずれも床から250〜300mmです。
ポリッシャー・照明・掃除機用
車の反対側からも電源を取れるよう対面に配置
200V専用回路。シャッター横に通常コンセントと並べて設置。将来のEV導入に備えた先行設置
取付高さを床から250〜300mmにしたのは、洗車時に床を流れる水の高さを避けつつ、しゃがまずに抜き差しできる位置を取るためです。
配線と回路だけ先に確保しておけば、実際に必要になったときは機器の交換で済みます。新築時のコストとしては小さい部類です。
また時間のある時に、GCLの詳細やリビングについても紹介したいと思います。
洗車ガレージの仕様一覧
Vol.02の設計段階の情報も含め、着工時点で確定した仕様をまとめました。
| 部位 | 採用製品・仕様 | 主要寸法・数値 |
|---|---|---|
| ガレージ寸法 | — | 内寸 W6.37 × D7.28m 天井高 2.48〜2.54m |
| GCL(収納) | — | 内寸 W3.48 × D1.69m 天井高 2.40m |
| シャッター | 文化シャッター 御前様 標準HSタイプ/電動・内巻き |
有効開口 W4,983 × H2,495mm 開閉音 約60dB |
| 床仕上げ | 名古屋モザイク モンティニャック 磁器質・粗面/ライトグレー |
600×600×t20mm/約43㎡ 目地幅 3mm(グレー) |
| 床下地 | 下地コンクリート+ ワイヤーメッシュ |
建築 約300mm+外構 60〜110mm |
| 水勾配 | シャッター側への一方向勾配 | 約0.8%(7.28mで高低差58mm) |
| 側溝 | 現場打ちコンクリート | 内寸 W150 × D100mm/L約6.2m 側溝内勾配 約3% |
| グレーチング | 福西鋳物 SGDLB-5020 鋳鉄・ブラック・細目すべり止め |
W200 × L748mm/荷重レベルD (T-20・20t対応) |
| 壁・天井仕上げ | アサヒ金属 鋼板スパンドレル F型(目地無)/ブラック |
働き幅200mm・厚み0.5mm 壁 約40㎡/天井 約44㎡ |
| 断熱 | 吹付け硬質ウレタンフォーム A種3 |
壁 90mm/天井(屋根)160mm |
| シーリングブーム | モスマティック(MOSMATIC) 高圧ホースは天井裏配管(VUφ75 空配管) |
アーム長 2.25m 取付位置 ガレージ中心 |
| 照明 | DAIKO ユニバーサルダウンライト LZD-93125DBW/LZD-93125GBM |
Ra98/計8台 4,000K 6台・3,000K 2台 |
| 換気 | パナソニック FY-24JDG8 /FY-32JD8(天井設置) |
合計 770㎥/h 気積 約130㎥に対し 約5.9回/h |
| 給気 | バクマ工業 RE-J-BK (結露防止断熱材付) |
φ100/W150×H150×D43mm 折り上げ側面に1個 |
| 電源 | 通常コンセント2口 +EV用200V専用回路1口 |
取付高さ 床から250〜300mm |
| 空調 | 設置なし | — |
洗車ガレージの費用内訳
仕上げ・設備にかかった費用の内訳です。構造・躯体・基礎は建物本体工事と一体で、ガレージ分だけを切り出して算出できないため掲載していません。以下はいずれも2022年当時の金額で、地域・工務店・時期によって大きく変動します。
| 項目 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| シャッター | 文化シャッター 御前様 材工共 |
130〜150万円 |
| 床タイル | 材料 約52万円+施工 約17万円 約43㎡ |
約70万円 |
| 排水設備 | 側溝・グレーチング・ 関連部材/材工共 |
26万円 |
| 壁・天井 | 鋼板スパンドレル 壁 約40㎡・天井 約44㎡/材工共 |
約55万円 |
| 照明 | ダウンライト8台 器具代のみ |
約15万円 |
| 換気扇 | パナソニック 2台 | 金額確認できず |
| 合計 | 仕上げ・設備のみ (構造・躯体・シーリングブームは別途) |
約296〜316万円 |
※2022年当時の金額です。換気扇は見積時に計上漏れがあり、最終的に建物内の他機種と同額での対応となったため、正確な金額を把握できていません。シーリングブーム(Mosmatic)の費用は別記事に記載します
内訳で見ると、最も比率が高いのはシャッターです。ここは製品の性能差より寸法の刻みとメーカーの見積差で金額が動く部分なので、複数社から同条件で相見積もりを取る価値が最も大きい項目でもあります。