Vol.01 洗車のために家を建てる。ガレージハウス計画、始動。
洗車のためのガレージハウス計画。土地選び・依頼先・設計体制の考え方をまとめます。
洗車できるガレージハウスを建てるとき、間取りより先に決めるべきなのは土地の条件と依頼先です。屋内で水を使う前提のガレージは、広さ・排水・電源・換気のすべてが土地と施工体制の制約を受けます。ここが固まらないまま計画を進めると、後からガレージだけが縮むか、費用が想定を超えます。
我が家は洗車を第一の目的にして家づくりを始めました。夫が前職で木造注文住宅の現場監督、妻が設計会社の設計担当という経歴があるため、プラン・作図・申請を自分たちで行い、施工を工務店に依頼する体制をとっています。ただしこれは経歴による例外的な進め方で、一般的には設計も依頼先に任せる形になります。この記事は2022年7月、プランが固まり工務店の概算見積りを待っていた時点の記録です。
- 洗車できるガレージに必要な5つの条件
- ガレージハウスの土地選びで先に確認する項目
- 建ぺい率・容積率の緩和と固定資産税への影響
- ビルトインガレージでよくある後悔と防ぎ方
洗車のためにガレージハウスを建てる理由
マイホームを建てる大きな理由は、ずばりガレージです。10代の頃から車が好きで、18歳から洗車を続けてきました。屋外での洗車は天候・気温・スペースの制約がどうしてもつきまといます。屋内で、自分のペースで洗車できる空間はずっとの夢でした。
洗車環境を屋内に持つと変わるのは、単に「雨に濡れないこと」だけではありません。直射日光が当たらないため洗剤や水滴が乾く前に拭き上げられること、風で砂ぼこりが舞い込まないこと、夜間や早朝でも作業できること。この3つが揃うかどうかで、1回の洗車にかけられる時間と仕上がりが変わります。
もちろん洗車だけではなく、リビングから車が眺められることも絶対条件です。ガレージを「作業場」ではなく「見せる部屋」として扱うかどうかで、開口の位置も内装の仕上げも変わってきます。
(申請含む)
(概算見積り中)
ビルトインガレージのメリットとデメリット
ビルトインガレージは「車好きの家」として語られがちですが、住宅としては明確なトレードオフがあります。検討を始めた段階で、良い面と割り切る面の両方を先に把握しておくほうが判断がぶれません。
メリット
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1天候にも時間帯にも縛られない 洗車・整備・タイヤ交換のいずれも、雨天や強風、真夏の直射日光を避けて行えます。住宅街でも大きな音さえ出さなければ早朝や夜間でも作業できるため、天気と時間の両方から解放されるのが最大の利点です。
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2車の保管環境が良くなる 紫外線・黄砂・鳥ふん・雹(ひょう)などの外的要因から車を遠ざけられます。屋外駐車と比べて塗装やゴム部品、内装の劣化速度に差が出るため、結果としてリセールにも多少は効いてくると考えています。
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3駐車場代がかからず、防犯性も上がる シャッターで閉じれば車が外から見えなくなるため、いたずらや盗難のリスクを大きく下げられます。盗難被害の多い人気車種ほど効果は大きいはずです。月極駐車場を借りている場合は、その費用も不要になります。
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4居室と一体で使え、車を出せば別の用途にも使える リビングから見える位置に配置すれば、車を眺める空間として日常的に機能します。車を出してしまえば趣味や遊びのスペースとしても使え、道具の収納場所にもなります。
デメリット
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11階の居住スペースが減る 同じ延床面積なら、ガレージが占める分だけ居室が狭くなります。3階建てにするか、2階に水回りとLDKを上げるなど、間取り全体の組み替えが必要になることが多いです。
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2大きな開口には構造上の制約とコストがかかる ガレージ開口は幅が大きく、木造ではその上に耐力壁を確保しにくくなります。開口幅・柱の位置・梁の掛け方が、後から自由に変えられない前提条件になります。鉄骨やRCであれば木造より飛ばしやすいものの、大スパンを実現するには少なからず追加費用がかかる点は変わりません。
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3費用が本体工事と別枠になりやすい シャッター・床仕上げ・排水・照明・換気・電源は、住宅本体の標準仕様に含まれないことが多い項目です。どこまでが標準に入るかは依頼先によって異なるため、総額を見るときは本体工事費とは別枠で確認する必要があります。
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4床面積が増える分、固定資産税が上がる ガレージが延床面積に算入されれば、その分だけ家屋の評価額が上がります。造作や設備の内容によっては評価に加算されることもあるため、建築費だけでなく毎年のランニングコストとしても見込んでおく必要があります。
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5音・においが居室に伝わる エンジン音、シャッターの開閉音、排気ガスや洗剤のにおいは、間仕切りと換気計画で対処する前提になります。設計時に無視すると住み始めてからの不満につながります。
洗車できるビルトインガレージの条件
洗車を前提にしたガレージが、一般的なビルトインガレージと決定的に違うのは屋内で水を使うかどうかです。駐車と収納だけが目的なら不要な検討項目が、洗車を入れた途端に必須になります。計画開始の段階で押さえておくのは次の5点です。
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1広さ:停められる広さではなく、回れる広さ 車が収まるかではなく、車の周囲を人が道具を持って回れるかが基準になります。ドアを開けて乗り降りできる幅と、洗車で回り込める幅は別物です。
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2排水:どこへ、どう流すか 床に水を撒く以上、水勾配と排水経路を構造・外構と同時に決める必要があります。後付けでは対応できない部分です。
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4床と壁:水に濡れる前提の仕上げ 床は滑りにくさと汚れの落としやすさ、壁は水はねを受けても劣化しないことが条件になります。一般的なガレージの土間コンクリート+石膏ボードとは選択肢が変わります。
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5換気と照明:乾かせるか、見えるか 濡れた状態を長く残さないための換気と、拭き残しや水シミが見える明るさ・色味が要ります。駐車のためだけの照明では足りません。
洗車できるガレージハウスの土地選び
ガレージハウスは、間取りより前に土地の条件で可否が決まる部分が大きい家です。とくに次の項目は、建物側の工夫では覆せません。
先に確認する項目
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1前面道路の幅員と間口 車の出し入れは、道路の幅と敷地の間口の組み合わせで決まります。道路が狭いほど、切り返しのために間口を広く取る必要があります。ここが足りないと、ガレージの位置も開口幅も選べなくなります。
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2敷地と道路の高低差 高低差があるとスロープが必要になり、その分の長さを敷地内で消化することになります。車高の低い車ではアプローチ角も問題になります。
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3給排水の引き込み位置と放流先 洗車をする以上、排水をどこへ流すかは土地の条件に直結します。前面道路の本管位置、雨水の放流先、地域の排水に関する取り決めを事前に確認します。
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4電気の引き込み容量 ガレージ側で使う機器が増えるほど、住宅全体の容量計画に影響します。引き込み位置と分電盤の位置もあわせて見ておきます。
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5用途地域・建ぺい率・高さ制限 ガレージ部分は延床面積の緩和対象になる場合がありますが、条件があります。土地の法規制は建物の階数や配置そのものを決めるため、購入前に確認が要ります。
建ぺい率・容積率とガレージの面積緩和
ビルトインガレージには、自動車車庫の床面積を延べ面積の5分の1を限度に容積率の計算から除外できる緩和があります。ガレージを広く取りたい場合に効く規定ですが、限度を超えた分は通常どおり算入されます。
一方で建ぺい率は緩和されません。柱と屋根、壁で囲まれたビルトインガレージは建築面積に算入されるため、敷地に対してどこまで建てられるかは建ぺい率で決まります。緩和の運用や必要書類は自治体によって差があるため、土地の購入前に確認しておくのが確実です。
税金の面では、ガレージも家屋の一部として評価されます。屋外の駐車スペースと比べれば固定資産税は上がる方向に働き、造作収納や設備を作り込むほど評価に反映される可能性があります。建築費だけでなく、毎年かかる費用として見ておく必要があります。
ガレージハウスの依頼先と設計体制
ガレージハウスは標準仕様から外れる部分が多いため、どこに頼むかで実現できる範囲と費用の見え方が変わります。ここでは一般的な分類として3つに整理しますが、設計施工を一貫で行う工務店や、施工まで手掛ける設計事務所など経営スタイルは多様化しています。以下はあくまで傾向であり、実際の対応範囲は会社ごとに確認してください。
ハウスメーカー
一般的には品質と工期が安定し、保証も手厚いのが利点です。一方でガレージの仕様変更はオプション扱いになりやすく、標準から外すほど費用が読みにくくなる傾向があります。規格の中で成立する範囲なら有力な選択肢です。
工務店
仕様の融通が利き、コストの内訳も比較的見えやすい傾向があります。ただし設計力・提案力は会社による差が大きいため、施工実績を確認したうえで選ぶ必要があります。
設計事務所+工務店
設計と施工を分けることで、設計の自由度が高くなりやすい形です。その代わり設計料が別途かかり、工期も長くなりやすい。特殊な条件の土地や、意匠を優先したい場合に向いています。
設計料を抑えられる一方で、図面・申請・仕様決定の責任をすべて自分たちで負う体制です。通常は設計を依頼先に任せるのが前提であり、これは経歴があって初めて成立する例外的な進め方です。建築の実務経験がない場合に勧められる方法ではありません。
家づくりの3つのこだわり
優先順位を3つに絞ったのは、すべてを同じ重みで検討すると予算配分の判断ができなくなるためです。我が家は洗車できるガレージ・リビングからの視線・細部の仕上げの3点を上位に置き、それ以外は調整可能な条件として扱いました。この優先順位は2022年7月の時点で確定していて、以降の仕様決定はすべてこの順番に沿って判断しています。
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1ビルトインガレージ(洗車対応) 屋内で洗車できる広さ・排水・電源を確保。駐車は自分たちの車2台分を前提とし、洗車用品専用の収納部屋(GCL)を隣接させる。勝手口からガレージへ直接入れる動線もこの時点で決めている。確定した内寸・GCLの平面・照明計画はVol.02 洗車ガレージの設計全記録で公開しています。
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2リビングからガレージ・テラス両方が見える ガレージ側は全面ガラスのFIX窓とし、リビングから車の全体が見えるようにする。反対側にはテラスと植栽を置き、片側は車、片側は緑という二方向の視線をつくる。どちらもリビングに座ったまま眺められることを条件にした。
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3細部へのこだわり 車と同じで、家もディテールで印象が決まるという考え方。素材の見え方や納まり、金物の質感まで、面積の大小に関係なく検討する。
ガレージハウスの費用とスケジュール
費用は本体工事と別枠で考える
ガレージハウスの見積りで見誤りやすいのが、ガレージ部分の内装・設備の扱いです。どこまでが標準仕様に含まれるかは依頼先によって異なりますが、シャッター、床仕上げ、排水、照明、換気、電源は別枠で積み上がることが多い項目です。含まれる範囲を確認しないまま本体工事費だけで総額を判断すると、後から数百万円単位で上振れすることがあります。
この時点では概算見積りを待っている段階で、確定した金額はありません。ガレージ部分の最終的な費用内訳はVol.03で公開しています。
着工前に決め切る必要があること
ガレージは、着工後に変更が効かない項目が集中する場所です。開口幅とシャッターの位置、床の勾配と排水経路、給水・電源の位置は、いずれも構造と同時に決まります。「住みながら考える」ができない部分なので、設計段階で仕様を確定させておく必要があります。
順調に行けば2022年11月頃着工、2023年の4〜5月に引き渡しを目指しています。ガレージの詳細仕様はこの時点では未確定です。
ガレージハウスでよくある後悔
ビルトインガレージの後悔は、住み始めてから気づくものがほとんどです。ただしその原因は、たいてい設計段階で決めきれなかった項目に集中しています。ここでは用途を問わず起きやすい後悔と、洗車を前提にすると新たに加わる後悔を分けて挙げます。
ビルトインガレージ全般で起きやすい後悔
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1広さを「停められるか」で決めてしまった 図面上は車が収まっていても、ドアを開けて降りられる幅と、車の周りを歩ける幅は別物です。駐車だけが目的でも、荷物の積み下ろしや同乗者の乗り降りで余白の不足に気づくことになります。
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2音とにおいが居室に届く エンジン音とシャッターの開閉音、排気のにおいは、間仕切りと換気で対処する前提の項目です。ガレージをリビングに面させるほど、この検討が効いてきます。
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3生活動線とぶつかる ガレージから玄関や収納へどう抜けるかを決めていないと、買い物のたびに家をぐるりと回ることになります。趣味の空間としてだけでなく、日常の通り道としても検討しておく必要があります。
洗車を前提にすると加わる後悔
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1車の周囲を回れる余白が足りない 洗車では車の全周に人が立ち、道具を持って移動します。駐車に必要な余白と、洗車に必要な余白はまったく別の基準になるため、駐車基準のまま設計すると作業性の低いガレージになります。
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2明るさと色味が足りない 駐車のための照明では、拭き残しや水シミ、塗装の状態は見えません。明るさだけでなく光の色や演色性まで含めて考えないと、結局ライトを持ち込んで作業することになります。
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3コンセントと水栓の位置が動線に合っていない 数も位置も、後から足そうとすると壁を壊すことになります。使う機材と作業の順番を先に想定して、床を濡らさずに届く位置へ配置しておく必要があります。
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4水を流す前提になっていない 床の勾配と排水経路は構造・外構と同時に決まるため、後から追加できません。屋内で水を使うと決めた時点で、床・壁・換気をまとめて洗車仕様として計画する必要があります。
ガレージハウス計画のFAQ
計画を始める段階でよく聞かれる質問を、判断基準とあわせてまとめます。
ガレージハウスは注文住宅でないと建てられませんか?
洗車目的のガレージは、普通のビルトインガレージと何が違いますか?
ガレージハウスの土地選びで、最初に確認することは何ですか?
ハウスメーカーと工務店、ガレージハウスはどちらに頼むべきですか?
設計を自分たちで行うと費用は安くなりますか?
ガレージハウスのデメリットは何ですか?
ビルトインガレージにすると固定資産税は高くなりますか?
ガレージ部分は建ぺい率や容積率に含まれますか?
ガレージハウスは平屋でも建てられますか?
ガレージ内寸の決め方、洗車用品収納室(GCL)の平面、クランツレ Profi175TST と純水器の選定、演色性を含めた照明計画を公開しています。