Mosmatic シーリングブーム設置|モスマティックの天井裏配管ルート
個人宅ガレージに天井吊りの高圧ホースを実現。天井裏配管の施工と設置手順がわかります。
個人宅のビルトインガレージにも、シーリングブームは設置できます。条件は本体の自重と使用時の荷重を支える天井下地を確保できるかどうかの一点で、設計段階から組み込めばホースを天井裏に隠した完全な埋設配管まで実現できます。実際にMosmatic(モスマティック)製のDKPを自宅ガレージに設置し、試運転まで完了しました。
シーリングブームはプロのディテーリングショップでは一般的な設備ですが、個人宅への設置例は世界的にもほとんどなく、天井裏配管となる施工手順の見本も説明書も存在しません。下地の作り方を誤れば使用時に天井ごと揺れ、配管経路を誤ればホースが通らず後戻りができなくなります。実際の施工でも変換アダプターの空回り・ベースプレートからの漏水・天井裏からの漏水と、3度のトラブルが発生しました。
- 個人宅ガレージにシーリングブームを設置する条件と下地工事の内容
- 天井裏配管ルート(空配管VUφ75)の先行施工手順
- Mosmatic製ブームの接続口・変換アダプターの正しい取付順序
- 試運転で起きた3つの漏水・空回りトラブルとその解決方法
シーリングブームとは
シーリングブームを使えば、高圧ホースを天井から吊り下げて洗車でき、ホースを床に這わせる手間もねじれによる車体接触リスクも大幅に軽減されます。
一般的な高圧洗浄機の使い方は、本体にホースを接続し、先端にガンを取り付けて洗車するというシンプルな構成です。ただ、洗車中にホースを地面で引きずり回すのは意外とストレスで、ねじれが生じて車体に接触するリスクもあります。
そのストレスを解消するのが「シーリングブーム」です。高圧ホースを天井から吊り下げることで、ホースを床に這わせる必要がなくなり、洗車中の取り回しストレスはゼロになります。
設置前のMosmatic シーリングブーム本体。ポリッシュドステンレス製のアームが印象的
モスマティックの製品ラインナップ
Mosmaticのブランドロゴ。スイス製の高品質スイベルで知られる
スイベルの精度と耐久性を基準にMosmatic(モスマティック)を選定しました。8種類のラインナップから設置環境に合ったモデルを選べます。
シーリングブームを販売しているメーカーとしては、Mosmatic(モスマティック)、MTM Hydro(MTMハイドロ)、Suttner(サットナー)などが知られています。スイベルの精度と耐久性でモスマティックを選定しました。モスマティックは世界最大級のシーリングブーム・ウォールブームのラインナップを誇り、カーウォッシュ・食品加工・鉱業・製造業など幅広い分野で使われています。主なラインナップは以下の8種類です。
CEILING BOOM|スタンダードモデル
品番:DKP / DKPL / DKF / DP2 / DKR。ストレート形状のスタンダードモデル。360°スムーズ回転・275bar対応で、カーウォッシュから工業用途まで幅広く使われています。今回設置したのはこのシリーズのDKPです。
CEILING BOOM Z-SERIES|複数台設置向け
品番:DKZ / DKZF。ブームがZ字のクランク形状になっているタイプ。1つの洗車スペースに複数台のブームを並べて設置できるのが最大の特徴で、エアドライヤーなど追加サービスを限られたスペースに収めたい場合に有効です。360°回転・275bar(27.5MPa)対応。
CEILING BOOM Z-SERIES HEATED|寒冷地対応
品番:DKZel。Z-Seriesにヒーティングケーブルを内蔵した寒冷地対応モデル。配管内の液体が凍結するリスクをなくし、冬季の節水にも効果があるとされています。
CEILING BOOM WITH LED|LED内蔵
品番:DKZbl / DKPbl / DDPbl。LEDライトを内蔵したモデル。洗車プログラムと同期させて光で工程を可視化できる機能があり、商業施設での演出・集客にも活用されています。
DUAL CEILING BOOM|デュアルアーム
品番:DDP / DDF / DDK。1本のステムに360°回転ブームが2本付いたデュアル仕様。洗車機に入れる前の下洗いスペースや、屋外のコイン洗車場での使用を想定した設計です。個人宅には過剰と判断し、選択肢から外しました。
1/2″ CEILING & WALL BOOM|大流量用途
品番:DKP 1/2″ / WAE 1/2″。流量の多い用途向けに1/2インチ口径に対応したモデル。トラックの洗車や製造・鉱業施設での使用を主な用途とするシールドベアリング設計の汎用タイプです。
WALL BOOM|壁面取付タイプ
品番:WAE / WAD / WAN。壁面に取り付けるタイプで、天井マウントが難しい屋外エリアや既存施設への後付けにも対応しやすいのが特徴。180°回転で、ブームが任意の休止位置に戻るよう設計されています。天井裏配管にこだわった今回は不採用としました。
WALL BOOM EXTENSION|延長タイプ
品番:WSA / WSA-2R。ウォールブームをさらに延長するエクステンションタイプ。トラックの洗車や航空機整備、鉱山施設など、広い作業半径と最大限の取り回し柔軟性が求められる現場向けです。
設置プランと下地工事
世界中に個人宅への設置例がなく説明書もないため、入念な設計と現場打ち合わせが良い結果につながりました。
設置プランの全体像はVol.03で解説済みです。シーリングブーム本体の取り付けは自分で行いましたが、取り付けを可能にするための下地工事は工務店に依頼しました。前職の建築知識を活かして取付方法を自分で設計・作図し、現場監督・大工・水道屋さんと現場で打ち合わせしながら進めています。
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1空配管の設置 ガレージ天井裏に高圧洗浄機ホースを通すための空配管を先行設置します。当初はVUφ50を計画していましたが、水道屋さんの助言でVUφ75に変更。おかげでホースをスムーズに通すことができました。配管の先はガレージに隣接するGCL(ガレージクローゼット)の天井裏まで抜いています。
天井裏に先行設置した空配管の全景
エルボ先端からホースを引き出し、シーリングブームへ接続
GCL天井裏の配管出口。ここからホースを通す
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2吊りボルトの設置 天井下地・仕上げ材(鋼板スパンドレル)の施工完了後、梁に全ネジボルトを設置します。ただ吊るだけではシーリングブーム使用時に揺れてしまうため、吊りボルトのナットとシーリングブームの間に木材を挟んで揺れを抑える構造にしました。
梁に固定した吊りボルト4本
吊りボルトと本体の間に木材を挟み、使用時の揺れを抑える構造
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3ベースプレート固定部の確認 ベースプレートはナット+化粧袋ナットで固定する計画。ナットの締付けやメンテナンス性を考え、シーリングブームのすぐ横に600mm角の天井点検口を設置しました。
天井下から確認したナット+化粧袋ナットの設置状態
シーリングブームの設置
天井裏配管ルートへの接続と変換アダプターの取り付け手順を正しく把握すれば、2人作業でスムーズに設置できます。
建物が完成し、いよいよ本体の取り付けです。まずはGCL収納の天井に設けた配管孔から高圧洗浄機ホースを通し、シーリングブームの取付位置の上まで引き出しておきます。
今回の施工で使用した高圧ホース
GCL内からホースを天井裏へ向けて通している様子
天井貫通部に化粧プレートを設置し、見た目を整えた状態
シーリングブーム直上の天井裏。ホースを引き出した状態
天井裏からガレージ内へホースを垂らした状態
接続口の確認|天井裏配管用インレットの位置
水が出るのはブームの先端。水が入るのはベースプレート裏側(天井裏配管用・中心の穴)とベースプレート下側(露出配管用の穴)の2箇所です。今回は天井裏配管のため、ベースプレート裏側の穴にホースを接続します。
天井裏配管用のインレット。今回はここにホースを接続
露出配管用のインレット。天井裏配管の場合は使用しない
変換アダプターの取り付け|3/8から1/4への口径変換
高圧洗浄機ホースの規格は3/8インチ、シーリングブームのインレットは1/4インチと規格が異なります。Mosmatic純正の変換アダプター(メス3/8・オス1/4)が必要です。
Mosmatic純正変換アダプター(メス3/8・オス1/4)
スイベル構造のため、取付順序に注意が必要
エラー1|変換アダプターが空回りしてねじが締まらない
変換アダプターは3/8ナット部分と1/4パイプ部分がスイベル構造になっていて、ナット側を回してもスイベルが空回りしてねじが閉まりません。正しい手順は、先に変換アダプターをベースプレートに取り付けてから(3/8側の穴の内側に六角レンチ穴があるため)、ホースをアダプターに接続する順番が正解でした。
3/8側の内部に六角レンチ用の穴がある。ホース接続前にアダプターをベースプレートへ固定する必要がある理由がこれ
振動対策|ベースプレート裏面のゴムシート
ベースプレートはステンレス製、ガレージ天井は鋼板スパンドレル。そのまま接触させると擦れや振動の伝達が気になるため、ベースプレート裏面に1mm厚のゴムシートを貼り付けました。厚すぎると逆に揺れが増えるため薄めを選択しています。
ベースプレート裏面に貼り付けた1mm厚ゴムシート
今回使用した1mm厚ゴムシート
各部にシールテープを巻いて変換アダプターを取り付けます。
ホースのオスネジにシールテープを巻いた状態
変換アダプターのオスネジにもシールテープを巻く。アダプター自体はベースプレートに先付けするため、この状態で接続する手順にはならない
変換アダプターとホースをベースプレートに仮接続した状態
妻に手伝ってもらい、私がシーリングブームを天井まで持ち上げ、同時にGCL側でホースを引っ張ってもらうという作業方法で、スムーズに設置できました。
天井に固定したベースプレートとアームの接合部
水平アームが天井から張り出した状態
ガレージ全体から見た設置状態
試運転とトラブル対応
試運転では計2回のトラブルが発生しましたが、いずれも原因を特定・解消し、漏水なしで動作確認が完了しました。
三相200Vコンセントの工事がまだ完了していなかったため、Kärcher(ケルヒャー)K3を接続して試運転しました。
エラー2|ベースプレートの開口穴から漏水
水を出した瞬間、ベースプレート下側の開口穴(露出配管用)から水が噴き出してきました。使用しない穴をボルトで塞ぐ必要があります。海外規格のねじサイズのため日本規格品が合うか不安でしたが、Amazonで適合品を発見。シールテープを巻いて取り付け、解消しました。
露出配管用の開口穴から水が噴き出した
穴を塞ぐボルト
海外規格サイズだが、Amazonで適合品を発見
シールテープを巻いた状態
ボルトで穴を塞いだ状態
エラー3|天井裏からの漏水
ベースプレートの穴を塞いで再試運転したところ、今度は天井裏から漏水。直ちに水を止めて確認しました。
原因は変換アダプターのロック機構でした。3/8ナット部分と1/4パイプ部分の間にあるリングがロックピンになっていて、設置時にアダプターが天井下地に当たった衝撃でロックが外れ、ナットが動いてシール面がずれていました。
六角部分の下にあるリングがロックピン。衝撃でロックが外れ、シール面がずれていた
シーリングブームを一旦取り外し、土間の上で単体試運転して原因を特定。アダプターが下地に当たらないよう注意しながら再設置し、その後の試運転で漏水がないことを確認。取付完了です。
設置してわかった条件と課題
計画段階からシーリングブームの設置を織り込んで設計したことが、今回の施工を可能にしました。
シーリングブームの存在を知ってから約2年。マイホームの建築計画と時期が重なったことで、設置環境を設計段階から組み込めたのは大きなアドバンテージでした。見た目にこだわらなければ(ホース・配管を露出する場合)、設置自体は意外とシンプルだと思います。課題はシーリングブームの自重と使用時の荷重を支える下地をどう確保するか、この一点に尽きます。
現時点ではKränzle(クランツレ)Profi175TSTはまだ未接続で、Kärcher(ケルヒャー)K3での試運転のみ完了した状態です。K3の約2倍の吐出圧力になるため、本接続後にどうなるかはまだ未知数。トライ&エラーを続けながら、快適な洗車環境を仕上げていきます。
試運転完了。天井に取り付けたシーリングブームが見える
シーリングブーム設置後のガレージ全景
ホースとガンを接続した状態
よくある質問(FAQ)
シーリングブームの設置可否・必要な下地工事・変換アダプターの取付順序について、実際の施工で判断に迷った点をまとめました。